IT業界で気づいたことをこっそり書くブログ

くすぶってるアプリエンジニアが、日々気づいたことを適当に綴っていきます(受託→ベンチャー→フリー→大企業→ベンチャー→起業)

Web・アプリ系フリーランスの壁と限界ラインを改めて確認

バズってたので読みました。

フリーランス完走した感想 - mizchi's blog

 

私はこの方についてあまり詳しくはないんですが、フロントエンド界隈で有名な方がフリーランスやったらどうなるかって感じです。
確か2年前までQiitaの会社に居て、バリバリ記事を書く方で、今もユーザーランキング7位にいらっしゃいますね。昔2位だったような?

 

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ブログの内容について、同意できる部分、できない部分それぞれありますが、大筋は置いといて。
こちらについて、やっぱりそうなのかーと思いました。

その結果、稼ごうと思ったらどんどん並列数が増え、マルチタスク気味になります。薄い関与が増え、いわゆる技術顧問のようなコンサルタント的な立ち位置になります。コンサルタントが悪いわけではないですが、いわゆる胡散臭いコンサルタントにならないために、自分が働く価値を薄い関与の状態で出すにはどうしたらいいか?という葛藤が多くなりました。見て回った限り、月の単価 150 万がコンサルタント的な働き方になるかどうかの目安のラインです。

最終的には、仮にコンサルタント的な関与だったとしても、エンジニアは手を動かして見せないと価値にならない、という考えに至ったので、まず自分でコードを書いて見せて、それをペアプロで真似させてみて、あとは困ったらよろしく、というのが一番効率が良い、という判断になりました。そのために、ユースケースごとのボイラープレートを大量に書くことにしました。実際の契約に対する労働量が、前半がやや超過気味で、後半はやや暇、相手の習熟度が上がって暇すぎると契約終わり、という感じです。

https://github.com/mizchi-sandbox

自分は最大で 4 並列(週 2/1/1/1)でしたが、正直毎日脳の違う場所を使うのが大変で、マルチタスク苦手な人は週 2 の契約を 2 つ、などにしておいたほうがいいと思います。

 

 

限界と壁

フリーランスエンジニアを語る上で、軸となる要素は色々あると思います。
お金、やりがい、成長、働き方、技術etc
その中で、主にお金と働き方を軸にして「これ以上望むなら、こうせざるを得ないよね」みたいな相場がどうやら存在するように思えます。

こんな感じ。

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うーん分かりづらい図だ。上に行くほど時給が上がります。右に行くほど労働時間が増えます。誤差はそこそこあると思います。
週40時間、時給換算5000円で月80万円です。
その左下あたりに、大体のWeb系フリーランスエンジニアは存在していると思います。(特にエージェントを介して常駐フリーランスしている方のメインボリュームがここらへんです。参考:

フリーITエンジニア、月収相場65万円 正社員より高額 :日本経済新聞 

 

今回ブログで見て「なるほどやっぱりかー」と思ったのは、コンサル化の壁です。
コンサル化、つまり時短・短期にせざるを得ない壁です。
時短にせざるを得なくなる壁は、値段帯なら大体6000円~9000円付近に存在すると思います。

5000円付近までは、時間労働のワーカーというか、製造者みたいな感じなんんですが、それより高くなるとスポット・コンサルみたいな感じになります。純粋に知識を売るようになっていくようです(厳密には時間払いでないことも多い)

これは働き方(ポジション)的にそうなるというものと、単価が高すぎるため契約形態が変化するという2つの原因があると思います。

世間的にはスポット・コンサルは名誉的な捉え方をされますが、時短になるので上記のブログに書いてあるような悩みに発展するようです。

  • 時短・短期になるので関わりが薄くなる
  • 複数案件取ってこなきゃならない(しかも高額案件)
  • 技術以外のソリューションが難しくなる
  • 案件の選択肢が減る

ビジネスとしてはトレードオフみたいな感じですね。
仕事の仕方もだいぶ変わるので、合う合わないあるでしょう。

 

意外と重要な「知名度」「人脈」と言う壁

コンサル化の壁付近について、「知名度がなくても技術力さえあればいけるのではないか?」と思う方も多いでしょうが、中々そううまく行きません。知名度や信用はとても重要です。

上記ブログでもうこう書いています。

特定分野ならこの人!と名指しで仕事来る人以外、フリーランスを勧めることはありません。

(※ちなみにこれ自体には私は同意しません。これはあくまでコンサル的な働き方をしようとするなら、だと思います)

このくらい、外から仕事が飛び込んでくる人じゃないと複数案件はキツイと言う感じではないでしょうか。
例えば1案件3ヶ月×週2ペースだとしたら、年間10案件以上は取ってこなければならないことになります。どれだけ技術力があっても、契約がスッと決まるわけではありません。事業の目的とのミスマッチもあれば、技術証明ができるとも限りませんし、顧客と合う合わないもあるでしょう。受注率はそこそこ低くみつもらなければならないので、もしも知名度・コネクション・人脈なしで年間10件以上の高単価コンサル案件を取ってこようとなると、一体何件営業しなければならないか?? となってしまいます。
(強力な営業が味方にいれば別でしょうけど。それはもはや会社なんですよね)

 

もちろん、大多数の常駐系フリーランスエンジニアはそういう動き方をしていませんし、する必要がありません。常に1案件、年間2案件前後くらいで稼働できれば問題ないはずです。単価を上げなければ今は豊富に仕事があります。

 

6000円を超えて、月160時間を超えるのは厳しい?

上記と似た理由です。
知名度向上=営業活動だとすれば、それを維持するための何かが必要なはずです。
QiitaやStackOverflowだったり、OSSの活動だったり、ブログや登壇だったり、Youtuberだったり、その時間を確保しようとすると月160時間を超えるのは現実的じゃなくなってくると思います。何もせずに知名度だけある人はかなり特殊です。

それに、その活動のためには尖った、ある種マニアックなレベルの最新の技術力を必要とします。
ワーカー・製造者はむしろ陳腐化した安定技術を安定的に使用するのが仕事なので、やり方が結構違うわけです。製造者なら、とにかく経験値を詰めばなんとかなるので目の前の仕事を頑張ればどうにかなりますが、尖った技術力を必要とするコンサルは業務外の勉強が大量に必要です。時間がかかります。

(例外があるとすれば、とても勉強効率のいい案件で知識の貯金ができた時くらいですかね?)

 

前にも似たの書きました。

otihateten.hatenablog.com

 

安易に知名度を求めるべきではない(と思う)

要はセルフブランディングをどれだけするかですが。自分がやっていた活動が自然に知名度向上につながった人を除けば、無理やり知名度を上げようとするのはコスパが悪いと思います。

理由は2つ。1つは勉強時間は基本的に無報酬であること。もう一つは働き方が自ずと時短・短期になることです。
しかも分不相応な評価を周囲から受けたら期待値が高い分しんどくて大変なことになるのではないでしょうか。それが1案件ならまだしも、複数案件で起こると・・・

(もちろんそういうセルフブランディング活動をされている方も結構いらっしゃいますし、全否定するわけではありませんが。誰でもやるようなものではないと思います)

   

普通のエンジニアの限界ラインが見えてくる

図の「メインボリューム」の近傍、頑張って交渉して「知名度の壁」あたりが限界ラインかなと思います。1発くらいイレギュラーな案件は取れるかもしれませんが、通年で数をこなすのが厳しいんです。

ちなみに、以前ブログに書いたFindyフリーランスはそこらへんを少し超えたライン狙っているようです。

  • 5000円〜8000円付近
  • スポット ← 
  • 時短 ←
  • リモート

otihateten.hatenablog.com

 

他の選択:160時間超えという選択

若干ここまでの話とは変わりますが、週40時間の壁を突破する手もあります。
人によってはどうかと思われるかもしれませんが、今の私はそんな感じです。

ただもちろん複数案件の壁がこちらにも発生するので、少しきついです(1社で160時間以上働かせてくれない)
特に「時短・非同期・リモート」案件を安定的にどう取ってくるかに課題があります。ここらへんは技術領域によって取ってきやすい/取ってきづらい/そもそも基本的に全部リモート、など様々あるようですね。取ってきづらい場合は、知名度はないにしても、スッと仕事が決まるくらいでないとしんどいかもしれません(技術力証明)

ちなみに週60時間超えたあたりに体力的な壁があると思います。これは人によりますけど(週40時間もムリって人結構居ますよね。私は命削ってます)

 

他の選択:国の壁を超えるという選択

これもあると思うんですが、あまりまだ参考事例が溜まっていないので割愛。
シリコンバレーの年収はストックオプションを入れて大体3000万くらいらしいですね?(自信ない)
多分コンサルできるレベルの人が世界に出ると製造者になるのかな?

 

他の選択:組織化・会社化という選択

もはやフリーランスなのか怪しいですが、自ずとそういう考えも出てくると思います。
複数人になると、また「壁」や「限界」はガラッと変わってくるはずです。

フリーランス同士でチームを組んでる方もいらっしゃいますね。これもあまり情報を持っていませんが。

より大きな案件を取ってこれるだとか、営業を用意できるだとか、チーム内で色を付けるだとか色々できそうですが、当然辛みも出てきますしもはやそういう企業ですよね。

 

大凡の限界ラインが見えてきた、じゃあどうするか?

フリーランスエンジニアって絶対数が少ないので、相場形成が曖昧で、実際どういう限界ライン、どういうパターンが存在するか、中々見えませんでした。しかし、色々見聞きしてようやく「大体こんな感じ」を理解できた気がします。薄ぼんやりですが。

今のフリーランスエンジニアの上澄みだけ好意的に拡散されているような感じは若干気持ち悪いですが(知名度ある人はそもそも上澄みしか知らなかったりするし、大多数はあんな優秀になれない)、個人的には結構腹落ちしたつもりです。スッキリしました!

このような地図ができると、上を見て下を見て隣を見て、自分の立ち位置を見て、もう少しどっち方面にキャリアを移動させようかなとか考えることができると思います。

フリーランスエンジニアとしての3つの生き方

以上の観測から、おそらくフリーランスエンジニアの生き方をざっくり選択肢にするとこんな感じだと思います。

  1. 技術力を極めスポットコンサルとして生きる(知名度・人脈が必要)
  2. 生産力を極め、総合的な製造者として生きる
  3. ワークライフバランスを極め、自由に生きる

ブログのmizchiさんはたぶん1です。界隈の著名人、例えば著書を持ってるとか、登壇いっぱいしてる人も、1が多いです。iOSだと堤さんとかですね(その辺疎い)。というかフリーランスエンジニア界隈でバズったり目につく人は大体は1です。少し憧れます。

私は2です。ここの人たちはあまり目立ちません、ネット上では探しづらいと思います。

そして一番多いのが3です(体感7割程度?)「フリーランス」感は3が一番強いかもしれませんね。この界隈にも有名な方はいらっしゃいます。「私もフリーランスになりたいな〜」で語られるイメージはこれだと思います。
(※3の人は決して技術力が低いわけではないです。むしろ効率的にスキルを安定させなきゃならないので、極めるには難度が高いと思います。また、何か別の活動のために時間を空けている方も結構います。例えば自作サービスを作ったり

 

全て同じくフリーランスエンジニアですが、目的や思想が全然違います。話が噛み合いません!
自分がどれに該当するかを見極めて、参考にする人や情報を選ぶのが大切だと思います。

 

 

参考:堤さんの場合。堤さんは1の生き方をされてる方だと思います。著書があります(つよい)

御本人が反応されていました。厳密には1ではないようです
→補足:

補足と訂正:Web・アプリ系フリーランスの壁と限界ライン - IT業界で気づいたことをこっそり書くブログ

 

type.jp

 

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2019/06/14
追記:おまけです。時系列で考えました。考えるきっかけありがとうございます。

 

otihateten.hatenablog.com

 

2022/01
追記

otihateten.hatenablog.com