あれ?なんでこの人たちこんな大量に働いてるんだ?
現在の日本のIT人材は100万人くらいです。
IT(プログラム)というのは自動化(システム化)する作業なので、何で?というのは当然の疑問だと思います。
ちなみに
労働集約型産業(ろうどうしゅうやくがたさんぎょう)とは - コトバンク
- 労働集約産業以外には何があるか?
- ①知識集約型産業でも、儲かれば労働集約的になる
- ②2つの大きな勘違い
- ③システム化はシステム化しづらい
- 疑問:システム化が終わったら解雇されないのか?
- 疑問:「システム化」の作業は一瞬で終わらないのか?
- 疑問:システム化を自動化はできないのか?(AIでできないのか)
- 疑問:何で仕事がなくならないのか?
- どこまで労働集約的になるか?
- まとめ
- おまけ
労働集約産業以外には何があるか?
現代の日本ではファインケミカル、機能性高分子、医薬品の開発やソフトウェアの開発、集積回路の設計などが知識集約型産業とされている
あれ? ソフトウェア開発は知識集約型産業って書いてますよ?(今気づいた)
①知識集約型産業でも、儲かれば労働集約的になる
考え方を少し変えなければなりません。
ビジネスは競争なわけですから、競合に勝つことが必要です。
例えば今、自由になるお金が年間1億円あったとしたら、選択肢はいくつかあります。
- 株主に還元する
- 給料を増やす
- 設備を増やす
- 人をもっと雇って会社を強くする
人を増やして会社が強くなる余地があるなら、もちろん人を雇いますよね。そうすればどう足掻いても労働集約的に収束していきます。たとえ1人あたりの生産量が減ろうとも、総生産を増やすために人を増やすわけです。
1つのシステムを10人で作れるかもしれませんが、100人掛けてより良いものができるなら、そうするでしょう。こういうのは何かを製造する業種なら大体似ていると思います。
AppleやGoogleでさえ、社員数は10万人前後居ます。基本的に儲かれば儲かるほど人は増えるし、増えるように事業を設計しているわけです。
もちろんITは知識集約型産業と言うべきなのですが、人が大勢いると均されて、労働集約産業と区別がつかなくなっていきます。
(そもそも労働者集約型という言葉の定義がよくないですね)
②2つの大きな勘違い
「自動化・システム化できるのに、なぜ人が大量に必要なんだろう?」
これは2つ間違いがあります。
まず、大多数のIT人員は、自分の仕事をシステム化する仕事をしているわけではありません。誰かの仕事のシステム化をしています。
また、もしシステム化してしまったら、余った手で、他にシステム化できていないタスクを行うから仕事がなくなりません。
③システム化はシステム化しづらい
「システム化」はシステムが不得手な領域です。
- ユーザー(人間)を観測し理解する
- 世界を観測し理解する
- 上手くいかない理由と解決策を探し出す、生み出す
- 人間や会社と合意形成する
- リリースしてプロモーションする
- フィードバックを得てアップデートする
こういうのがあるので、なかなかシステム化は完全システム化されません。
そこそこはされていますが、未だに人が介在する余地がたくさんあります。
IT業界なんて、システム化のプロがたくさんいる業界で、未だに完全自動化されていないというのはそういうことです。
疑問:システム化が終わったら解雇されないのか?
されます。
例えば派遣やフリーランスなど、期間限定で雇うケースがあります。
アメリカの場合は「もう要らないから明日から来なくていいよ」などもあります。
日本の社員ではそういうことができませんが、例えばどこかの会社にシステム開発を発注したとして、半年で契約が終了したらそれは「解雇した」と似た意味合いですよね。
疑問:「システム化」の作業は一瞬で終わらないのか?
終わりません。
システム化は一瞬で終わらせるための作業でもありますが、システム化そのものは一瞬で終わりません。大変です。
疑問:システム化を自動化はできないのか?(AIでできないのか)
システム化の自動化ができれば、後は人間が不要になりそうですよね。
でもこれはまだ非常に難しい作業です。
理由はAIが一番不得意な領域だからです。というかこここそAIの本丸だと思います。誰だってシステム化の自動化ができたら凄い世界が来そうだというのは思ってるはずです。
もちろんシステム化は少しずつ自動化されつつあります。しかし全てを自動化するというのは中々難しく、まだ数十年以上は掛かりそうです。
それに、システム化されたら労働者はそれ以外の部分をやるので、結局仕事は当分尽きなのでは?と私は思っています。
疑問:何で仕事がなくならないのか?
これは「なぜ川の水が尽きないのか?」みたいな話で、ちょっと難しいです。
参考
どこまで労働集約的になるか?
いくつかの要因が、労働集約的なスケール拡大を阻害します。
1.これ以上給料下げたら人が来ない(質が落ちる)
年間1億円の人件費の予算が余ってて、1人500万まで下げられる余地があるなら、会社は20人くらい雇いますよね。
これ、逆に言えば会社って限界まで給料下げてくるんですよね。
2.人がいるとむしろ邪魔、そんなに要らない
例えば、2枚のピザ理論などがあります。
米AmazonのCEOジェフ・ベゾスが提唱する「2枚のピザ理論」 | ライフハッカー[日本版]
こういう、少人数のほうが上手くいくみたいな場合では人が増えません。
また、例えばPCなど仕事のための環境が1人分で1億円だったらどうでしょうか。
10人雇っても1人分の仕事環境しか用意できない、みたいな状況では人は増やせん。そういうのは結果的に資本集約型産業になります。
3.該当労働者が居ない
例えばすごく難しい技術だったり、医者や弁護士のような免許制だったりで、そもそもそんなにできる人が居ないなら人は増えません。
(でも、例えば弁護士なんて居れば居るほど売り上げが上がるし労働集約的なのでは?やっぱり定義が微妙な感じしますね)
まとめ
- 儲かった分人は増える、人が増えると人海戦術みたいになっちゃう
- システム化は完全自動化できていない
- 例え一部が自動化できても、他の自動化できていない作業をしている
おまけ
儲かって自動化しづらい産業ほど人海戦術で地獄になるっていう特徴がありますね。自動化されない分、息は長いんですが。
「あの会社はだいぶ儲けてるから給料高いだろう」が成り立たないのに気づくのに数年掛かりますよね。私は掛かりましたよ。労働集約化が可能な会社って儲かると給料据え置きで人増やすんですよね。
それでも、儲けが少人数に集約されるよりは、「労働集約的にならないと負ける」みたいな状況のほうが世の中上手く行くのかもしれません。資本主義はすごいですね。
ここらへんの話って余り語られないですが、「まあ仕事してれば何となく分かるよ」みたいな話だから敢えて説明しないんでしょうね。
こういうの若手に10回くらい説明した気がします。
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