大仰なタイトルを付けてしまいましたが、かなり薄い話です。
考えられる材料そんなに無いですしね。
適当な参考
はじめてのプログレッシブ ウェブアプリ | Web | Google Developers
【一問一答】「プログレッシブウェブアプリ」とは何か?:ネイティブアプリとウェブのハイブリッド | DIGIDAY[日本版]
やばい、iOSにネイティブアプリ要らなくなるかも。SafariもPWAに対応する可能性 - Qiita
ネイティブアプリとWeb
ネイティブアプリエンジニアというのは、2013年頃(大体iOS7、Android4系の頃)までは、そのうちスマホサイトやWebアプリに駆逐されるのではないかと内心ヒヤヒヤしながら仕事をしていたと思います。
周りもそう思っていたようで、中々ネイティブアプリを専業でやろうという輩は現れず、結果中途や新卒にやらせることが多かったと思います。
結局その後、様々な経緯でブラウザ側はパッとしなかったため、ネイティブアプリエンジニアは食いっぱぐれず、むしろ人手不足で高給になるような事態になっています。
ユーザーもここ3年くらいでアプリファーストがかなり進みました。
とは言えスマホ端末も徐々にスペックが高くなってきて、ブラウザは自由に動けるようになってきました。最近ではwebで構築されたアプリも違和感なく使用できますし、push通知を飛ばすサイトも随分増えました。
そこでいよいよ次世代の「アプリのようなweb」という機運が高まってきました。
ポストアプリはこれまでAMPでしたが、PWAも侮れません。このままネイティブアプリはAMPやPWAに置き換わってしまうのでしょうか。
俯瞰で見ると利用文脈が違う
結論から言うとネイティブアプリは無くならないと思います。
というのも利用文脈が異なります。Webの強みはパーマリンクとディープリンクにあると思います。1ページにURLが割り当てられ、検索導線から一番深いところにリーチできます。一見さんや、一度だけ使う場合には非常に強い仕組みです。
対してアプリはインストールして継続利用してもらう思想です。そもそも検索をあまり使わないスマホユーザーにとっては、固定の価値をパッケージ化したアプリの方が使われるという流れができています。
某社で開発していたときも、スマホサイトとアプリ両方あったのにユーザーはアプリファーストでした。スマホサイトは検索のランディングページとして使われます(広告やシェアには都合がいい)
利用用途や利用文脈がまるで異なるとなると、PWA導入するからアプリ辞めます、となることは少ないでしょう。
ではどうなるのかと言えば、スマホサイトが置き換わるのだと思います。
こちらは同じ利用文脈があるので置き換えが可能です。
今まで微妙な位置づけにあったスマホサイトですが、これで名実共にスマホサイト専用になるのではないでしょうか。
そうなった場合、本来ネイティブアプリに適していないサービスモデルであった事業者はアプリを辞めるかもしれません(例えばメディア、継続利用を想定する必要がないものなど)
また、新規サービス立ち上げの時には「PCサイト、アプリ、PWA」というような構成になるかもしれません。その際に予算の都合でアプリを後回しにするケースもあるでしょう。
とは言えそれら込みで、大きく業界が変わるとは思えません。
それぞれに無視できないほどの利点が有るなら、企業としてはどちらもやる以外の選択肢を取れないはずです。
エンジニアは手を出すべきか(特にアプリエンジニア)
あまりおすすめできるとは思えません。
まずWeb側の人の方が若干有利でしょうし旨味は少ないと思います。「ちょっとアプリみたいだけど、利用文脈はWeb」という新しい利用シーンが生まれるので、もちろん全てがこれまで通りのWebというわけではないでしょうが、その点で悩むのはディレクターやプロダクトマネージャーです。
開発環境や知識はスマホサイトに近いはずですので、喜び勇んで挑戦しても彼らが既に取り組んでいるはずです。
また、「ネイティブアプリは作らないけどPWAは作りたい案件」というのはおそらくそこまで大きくなく美味しくない案件でしょう(自社開発なら別)
更に言えば、新しい領域というのは往々にして相場が固まっておらず見積もりミスするものです。
追加開発でPWAを作る会社も、これまでの開発体制を踏襲するでしょう。
こう予想すると、仕事として食べられる実がまだまだ少なすぎると思います。
ただし例えば未経験者や、技術チェンジしたい人、スキルの多角化をしたい人にはちょうどいいのかもしれませんね。アプリ側からもweb側からもとっつきやすいはずですしね。
私も少し興味があります。
何にせよ、流行らないと話が始まりませんが。。
(スマホによる検索エンジン利用って減ってますから、正直わからないですよね)
追記:漏れていた観点
BtoBアプリ、審査スキップのためのPWA
特にiOSは審査があるので、特定の人にだけ使わせるようなアプリが非常に作りづらい状況が有りました。
例えば、BtoBtoCみたいなサービスで、ビジネス側に使わせる管理画面をアプリで提供したいと思ってもやりづらかったのです。
だからこそ、同じアプリにB側機能とC側機能を入れていたりもしました。
そのB側がPWAに置き換わる可能性はあります。
また同じ理由で、今までやりづらかったBtoBtoBサービスなんかもPWA化されるかもしれませんね。
なので、会社としては両方できなければならないと言った状況にはなるかもしれません。
とは言え大きいプロダクトではアプリ化されているので、大きい案件ですぐにPWAが走るケースは少ないのではないかと思います(完全ログイン制にすれば解決するので)
社内コミュニケーションツールとかだって、アプリ化されていますよね。
もう一点、iOSの審査基準的にアウトなケースがPWAで担保される可能性があると思いました。
要はエログロ、暴力、課金、低品質、アプリ作成ツール、政治絡み、ハックするもの、ウィジェット的なもの、他OS前提のもの、他サービスに依存しきったもの、まとめ、リワード広告、などなど
まあ今スマホサイトであるそれらがリッチになるだけでしょうけど。
ハイブリッドアプリは駆逐される?
忘れてましたが、ここが一番割りを食いそうですね。
Cordovaに代表されるハイブリッドアプリ開発です。
「両OSのアプリに人件費をかけるほどではないが、アプリを出したい」というような事業だったら、「PWAでいいや」となる可能性はあります。
もしくはPWAで作ってWebViewアプリにしてしまう、みたいな荒業も登場しそうです。
とは言っても見た感じ、PWAもまだまだと言った感じです。
今年、来年は注視したいですね。
追記:PWAの設計難しそう問題
ネイティブアプリというのは利用文脈が有ります。
アプリの紹介があって、ホームがあって、検索があって、詳細画面が合って・・・
例えwebからディープリンクを詳細画面につなげていても、ユーザーが使ったことのあるアプリだから問題なく使えます。
しかしPWAでのディープリンクは、初めて使うwebアプリの最深部にリーチすることになります。その時にきちんとユーザーが状況を理解できるように、UI・UXを設計するのは非常に難しそうです。
「いつどこでも利用方法が分かるような見た目」が要求されます。
もちろんスマホサイトも現状似たような状態と言えばそうなのですが、自由度が高まることにより一段階難しくなるような予感がしています。
つまり開発者には地獄ってことですね。
追記の追記:
一休がディープリンクで悩んだスライドがありました。
iOSDC2017で「ディープリンクの設計と実装」について発表した - ninjinkun's diary
たぶんこういう苦しみがPWAでは発生すると考えています。WebからPWA、PWAからアプリ、ユーザーをどこに持っていってどこでコンバージョンさせるのか。そしてどう計測するのか、どう導線を設計するのか、非常に大変そうです。