IT業界で気づいたことをこっそり書くブログ

くすぶってるアプリエンジニアが、日々気づいたことを適当に綴っていきます(受託→ベンチャー→フリー→大企業→ベンチャー→起業)

一介のエンジニアが起業する理由

一般論ではなく私事です
あと、だいぶ後ろ向きな話で、キラキラ度ゼロです

 

割りと以前から作ってきたサービスが、どれだけ遅くとも年内(早ければ来月)には出るくらいに煮詰まってきました。
それで、いよいよ会社を立てるみたいなことを現実的に考えることが多くなりました。
一応それなりに堅いビジョンとスケールが見込める程度のサービスにしました。

正直言って、私は社長なんて器でもないし、それほど向いてもいないと思っています。
ちょっとプロダクト寄りな一介のエンジニアです。そこらに居る程度の。
地頭だって、記事で見かけるような有能な社長ほどありません。私がこれまで見てきた社長達のようなバイタリティもありません。いつも腹を壊しています。
会社の片隅でぼへーっと仕事してるタイプのエンジニアです。
起業なんて絶対嫌だと2年前まで思っていました。

 

それでも最近、業界を知れば知るほどキャリアパスの一つとして起業するという方向しか見えなくなってきました。
確認も込めて理由をまとめたいと思います。

 

プロダクト・サービス作りに絡めない

多くのエンジニアがそうであるように、私も何か役に立つものを作り上げたいという欲求をそれなりに持っています。

それもあって主にモバイルアプリを専門にしています。モバイルアプリはユーザーが直接触れるものなので、これならプロダクトに積極的に絡めると思っていました。しかし話はそう簡単ではありませんでした

いくつか理由があります。

  • サービスというのはアプリやwebというより、もっと大きなシステムや思想であり、アプリ開発者だからどうこうできる規模のものではない
  • 小さめの規模の会社(例えば10人以上)ですら既にサービスは完成されてしまっている
  • サービスの議論と実行ができる会社が非常に稀
  • 議論できる会社だと判断できた頃にはすでに育ちきっている

そういえば、受託会社から出た理由も似たような理由でした。
受託ではお客さんが居るので、お客さんのサービスに対する温度感が高くないとひたすら作業になってしまうのではないか。そう思って自社サービス会社を巡ったり、フリーランスになったりと色々試したのですが、予想以上にちょうどいい場所というのはレアなようでした。

下手すると、受託案件の方がまだ面白い案件に絡めるかもしれません。一、二度経験があります。

そのくらい、探しても探しても、サービス作りに参画できそうな会社がありませんでした。
おそらく事業が上手く作られているなら、たけのこのようにスーッと成長しきってしまうのでしょう。あるいは、人伝だけで美味しいポジションは埋まってしまうのかもしれません。すると転職サイトに上がってきません。
結果残った初期の会社は最初のビジネスモデル・サービスモデルの設計で躓いているか、そもそもノーアイデアの事業ばかりです。
以前R社の偉い方が「今成功されてる方はチャンスを虎視眈々と狙っていたような人だ」とおっしゃっていたのがようやく理解できました。

チャンスに出会えないのはまだいいとして、経験すら積めないのは困ったものです

 

プロダクト作りに参画できる度

受託(零細) ■■■■□□□□□□
受託(中堅) ■■■■■■□□□□
ベンチャー(シード)   ■■■■■■■■□□  ※不安定だし見つからない
ベンチャー(アーリー)   ■■■■■□□□□□  ※予想外の低さ
ベンチャー(ミドル)   ■■■□□□□□□□  ※予想外の低さ
起業     ■■■■■■■■■■  ※当事者

※一応言うと、CEOでもサービスづくりに傾注できない場合は多いらしいですね。資金調達に奔走したり、人材獲得に奔走したり。上記は必ずしも当たるとも限らないです。

 

噂ですが、誰でも知ってるような有名ベンチャーにエンジニアとして入ったものの、丸っきりプロダクトに絡めずに嫌になって出ていく人と言うのは多いらしいです。
 

サービス設計を経験できない

サービスやプロダクトなどは、初手が非常に肝心です。最初の設計(あるいはPivot時の設計)が甘いと、その後どれだけやっても厳しい戦いになるし、下手すると頑張るほど苦しい状況というものが生まれたりします。
実装フェーズでさえ、その大本のサービス設計に影響されて苦しくなることもあります。つまり全ては設計次第です。

Googleが出してるTeamGeekという本に「安全な位置まで昇進するべき」というのがありましたが、それがどこまで昇進するべきかと考えた時、事業設計をコントロールできる位置だと考えました。

しかし、その事業設計に携われる位置は、遥か上(あるいは遥か初期)にあります。
そこに行かなければ経験も積めないし、いつまでも安全とはいえません。
私は多くの人と同様に、普通に安心して働きたいのです。

 

年収に限界を感じる

勤め人(経営者ではない人)の年収というのは非常に合理的だと思います。
優秀なら優秀なほど高給取りです。
160時間働いて、給料がゼロなんてこともありません。
だからこそ、私はもう限界です。
30代前半(私)だと、勤務医や弁護士の年収が大体800万〜1600万円程度です。
40歳の優秀なプロジェクトマネージャーでも1000万円程度です。
私は決して彼らほど優秀ではありませんし、社会人経験もたった7年しかありません。
そう考えると、普通に考えたらいっぱいいっぱいもらっています。

これより上に行くならゲームを変えなければなりません。

 

今のままでも十分とも考えられますが、特にこの業界は将来が不安でしょうがないです。それに私は自分を信用できません。全力で上昇しようとしてようやく少し安心できます。さっさと一般的な生涯年収を稼いでしまいたいです。

 

サービス設計さえ良ければ意外とどうにかなる

私でもなんとかなると思ったからという理由です。
(たぶんこれは慢心なのですが)

起業で成功されてる方、失敗されてる方を見てみると、ビックリするほど優秀です。
ですが起業のことをよくよく考えてみると、どれだけ優秀でも足りないことがわかります。
会社、人、商品、マーケティング、開発、法律、財務、経理、営業・・・
いくら知識があっても足りません。端から詰んでるんです。
それでも成功してる方がいるのは、もちろんプロが支援してくれるからです

以前(今はなき)ベンチャー企業に居た時にそれを学びました。私より1歳年下の社長でもある程度やれていたのは、周囲の支援があったからでした。
しかし支援してもらうにも、ネタとなる事業≒サービス・商品がないといけません。それだけが他の人にどうにかしづらい難問であって、それこそ注力すべきものだと理解しました。

 

できないことをやらなくても成り立つように心がける

とは言え、もちろん事業・サービスをやる際についてくる必須スキルは山ほどあります。
例えば、50人規模の体制を築かないと成り立たないサービスだとしたら、それを管理するスキルがチーム内に必要です。
そういった様々なスキルの中で、自分ができそうにないこと、失敗しそうなことを排除して、それでもやれそうなことがあるかどうか、で考えました
私はそこまで有能というわけではないので、やれないことはとても多いです。

・人の管理
・事業計画
・金の管理
・教育
・人脈
・プレゼン
・営業(※これだけ協力者見つけました)

これらは正直できる気がしません。努力は可能ですが限界があります。一介のエンジニアですし。
なので調達しません。事業計画もふわっとしてます。人入れません(入れるとしても外注です)。
たとえ上手くいっても大規模な組織にしない。IPO目指さない。人を増やす時は慎重に。など。
特にIPOを目指すのを諦めると難易度はある程度下がりそうです。

それでもできそうなサービスだけやります。
だいぶ縛りがキツイですし、そういったものは往々にして参入障壁が低くレッドオーシャン化していますが、意外と探せばあるもんです(私の場合は、原案は別の方が持っていたので、ただのラッキーですが)

そして人の管理をしなくても、エンジニアなら自分で動けばまずスタートは切れます。

 

サービス設計と、組織設計と、プログラムの設計は似てる

長くなるので割愛しますが。
プログラミングの設計を突き詰めれば、他に転用可能だと思いました。
ゴールドマン・サックスでもプログラミングを勉強するそうです。プログラミングとプロダクトは設計という点で意外と近いのではないでしょうか?

 

試してみたいことがあった

おそらく多くの起業家がそうでしょうが、次の時代はこういう時代になると予想して、それを実行に移してみたくなっただけです。別に他の輝かしい起業家のように、絶対これやりたい!ってほどじゃないんですが、「次これでしょ? これがあれば世の中よくなるよ」ってのを実現してみたくなりました。

(具体的に言うのは今度にします)

 

新規事業資金がほしい

正直言うとこれもあります。
さっきのやれないことリストで除外されたもの。例えば初期資金が無いから(あるいはリスクを取れないから)できないような、思いつきサービスをジャンジャンリリースしてみたいです。エンジニアなら一度は夢見るんじゃないでしょうか? 元々そういうことがしたくてエンジニアになりました。

アグレッシブかつ優秀な人は、リスク取ってでもそういうことをやるんでしょうが、サービスというものがそんなに甘くないことを知っています。私は石橋を叩きまくって渡るタイプなので、当面の生活費がないとそんなことできません(あと優秀じゃありません)

 

おわりに

我ながら後ろ向きな理由が多いなぁと思います。
そりゃぁそうです、起業なんて普通に考えたら頭おかしいんです。
しかし頭おかしかろうが前向きな人間に人はついてくると思います。私についてくる者は居ないでしょう。だから、魅力はとにかく自分ではなく、事業とサービスに注ぎ込みたいと思います。単一事業企業の方が健全だと思うんですよねぇ。

 

 

とか書いたけど、ちゃんと起業できるんだろうか?(不安w)
一寸先は闇です
できなかったら消そう

 

※私の考えは定期的にコロコロ変わります。この考えが正しいとは思わないでください(予防線)

 

若干訂正:

最も都合が良いのはCTO+CPO(P=Product)だと思っています
技術とプロダクト、そしてグロースに集中的にコミットできるのがいいです
でもそれをやろうとするとどうしても起業せざるを得ない状況になりそうです
だって、優秀な社長が私をそんなポジションに据えるわけないじゃないですか! 経験ないんですから(完全に鶏と卵)
本当は社長じゃなくていいんですが(CEO業務めんどい)

今は相方の方がCEOっぽいことをしているので何とか成り立ってます。
未だにサービスの骨子を作ってる私より、人を連れてきたりする相方の方が社長向きだと思っているんですが、難しいですね。