IT業界で気づいたことをこっそり書くブログ

くすぶってるアプリエンジニアが、日々気づいたことを適当に綴っていきます(受託→ベンチャー→フリー→大企業→ベンチャー→起業)

「無能な働き者」を無力化する方法

何か「無能」検索から来る人が多いので、無能な働き者を無力化する方法について考えてみる

ちなみに、ここで言う「無能」は誰しもがなる可能性があるもので

例えば専門外の仕事をするなら簡単に無能に陥るかもしれない

 

 

過去の記事

 

otihateten.hatenablog.com

 

otihateten.hatenablog.com

 

 

無能な働き者が蔓延る条件

前の記事でも書いたが、「無能な働き者」である理由は概ね次のとおりだと思う

  • 高頻度で間違った回答を出す
  • 間違った回答が悪影響を及ぼす
  • 間違いを起こすが、それに気づかず、タスクの範囲を増やす

 

そして、その無能な働き者をのさばらせる環境はというと、こんな感じ

  • その人のタスクの範囲を制限するものが不在、あるいは止められない
  • 積極的に影響度の高いタスクを取りに行ける環境にある
  • その人は周りの信頼を勝ち得ている

 

つまり蔓延る条件としてはこんな感じだと思う

ちょっと堅苦しいが

 

1.無能な働き者が存在する

 1.1.影響度の高い重要タスクが実行可能な状態にある

 1.2.高頻度の間違いを出す

 1.3.間違いに気づかない

 1.4.タスクの範囲を増やす(増やせる)

2.無能がのさばる組織

 2.1.判断器がない

  2.1.1.タスクを振る人が無能を判断できない

  2.1.2.タスクを承認する人が無能を判断できない

  2.1.3.周りが無能を判断できない

 2.2.コントロールできていない

  2.2.1.無能が積極的にタスクを獲得できる

  2.2.2.無能の成果を判断しない

 2.3.悪影響をコントロール出来ない

  2.3.1.悪影響だと気づかない

  2.3.2.悪影響を断ち切る仕組みがない

 

基本的にこれら一つ一つを解決すれば無力化できると思う

 

判断器があれば解决するはず(答え合わせができる)

例えば学校のテストは答え合わせができる

無能が間違った答えをいくら出そうが0点なら誰もが無能をジャッジできる

もし無能とされた本人に判断器があればそもそも無能は存在しなくなるし(1.2の解決)、組織に判断器があれば無能を無能と認識できるようになる(2.1の解決)

 

しかし仕事においては答え合わせができることが稀だ

「こうすれば絶対儲かる」「こうすれば絶対完成する」なんて答えはどこにも書いていない。例え書いていたとしてもそれは複雑で、非専門家の周りの人には答え合わせができない

じゃあこの方法は無しかといえばそうではなく、判断器を上手く作るのが最も近道だと思う

 

判断器=人という解決方法

以前、ゲーム業界の人に「これから発売するゲームが面白いかどうかってどうやって開発者は判断してるの??」と聞いたことがある

すると「今まで名作を生み出してきた生き字引のような人が居て、その人に判断してもらう」と言っていた

種を明かせば至極真っ当なことで、その業界のシニアを判断器にする方法

 

ただ、この方法を取れないパターンもある

  • そんなコネクション無い
  • そんな人居ない(業界が若い、社内に居ない)
  • 日進月歩すぎて過去の経験が役に立たない
  • タスクが細かすぎる

また、この方法を組織が取らないパターンもある

  • 誰が的確な意見をくれるか、人の判断ができない
  • 俺こそが正しい、と思っている
  • 秘匿性が高いため言えない
  • 周りが無能を信じ込んでいる

 

とにかく、この方法も万能ではない

 

判断器=データという解決方法

最近グロースハックが注目されている理由がここにあると思う

良いか悪いか分からない機能をリリースした時、データが判断器になってくれる

 もちろんこの方法も万能ではなく、利点と欠点があると思う

 

利点:

  • 専門外の人も判断しやすい
  • 定量的に判断できる

欠点:

  • データ化できないタスクに使えない
  • 真の無能はデータ化する時点で間違う

 

 

判断器があれば解决する・・・はず?あれ??

この他にも、様々な工夫で判断器を作る方法があると思う

実際にそれは実行可能だし、役にも立つ

 

しかし、真に無能な働き者に困った状況というのは、こういったものが通用しなかった場合が多いのではないだろうか!?

 

きっと、ここが肝なんだと思う

 

2.無能がのさばる組織

 2.1.判断器がない(利用されない

  2.1.1.タスクを振る人が無能を判断できない

  2.1.2.タスクを承認する人が無能を判断できない

  2.1.3.周りが無能を判断できない

 2.2.コントロールできていない

  2.2.1.無能が積極的にタスクを獲得できる

  2.2.2.無能の成果を判断しない

 2.3.悪影響をコントロール出来ない

  2.3.1.悪影響だと気づかない

  2.3.2.悪影響を断ち切る仕組みがない

 

つまり、

×   一人の困った無能に困っている

◯ 無能集団の中に働き者が居てどうしようもない

 

前の記事でも書いたが

「積極的に自爆スイッチを押しに行こうとして、周りもそれに協力する

 彼を排除しようとすると邪魔される」

という状況だ

 

 

フラットな組織も危ない

もちろん、上司(タスク振り、承認)が無能な場合がイメージしやすいだろうが

実はこの状況はフラットな組織(権限が緩い組織)でかなり致命的だと思う

あらゆる仕事において専門性が高い今の世の中では、「外野」というのは高確率で無能だ

エンジニアは「営業は分かってない」と言い、営業は「エンジニアは分かってない」と言う

そのどちらも正しくて、だからこそ仕事が成り立っている

 

その無能だらけの組織の中で権限を曖昧にすると、無能による多数決原理が働いてしまう

民主的に(良かれと思って)皆の意見を集約し間違った回答を出すが、その時どれだけ間違っていても「みんなで決めたことだから」で終わらせてしまう

理ではなく意見や感想で動くモンスターの完成だ

 

もちろん、その民主的な動きの中心に立つのがきっと最強の「無能な働き者」だろう

解决するには彼ら全員に働きかけなければならないため、上司一人が無能だった時より危険だと思う

 

 

諦めましょう!辞めましょう!

もしそういう状況なら、組織を設計した人が無能なわけで、今後も似たような状況になる可能性が非常に高い

解决するためには個の説得ではなく集団の説得になり、すなわち社内政治になる

そんなことをして何かメリットがあるならともかく、無いなら他を当たるべきだと思う

 

 

社内政治をしよう

解决するならこの方法しかないのではないか(あったら教えて下さい)

私は中小やらベンチャーばっかり回っているので社内政治には疎いが

実際に試してみた、試そうと思ったことを羅列してみようと思う

 

  • 正論を吐き喧伝する

民主主義的に勝ってしまえば良い

(失敗例:正論が通じない。判断器を持ってないから当たり前)

 

  • 無能な働き者を葬り去る

周りにいるのは専門外である可能性が高いので、働き者さえ葬り去ることができればまだ芽がある

(失敗例:タスクの範囲や責任の所在が不明確で責任追及ができない)

(失敗例:予実績管理をちゃんとしていなくて明確に責任追及ができない)

 

  • 上司や取締役、いっそVCや株主を巻き込み説得する

(失敗例:上司がそもそも無能で判断器を持っていない)

(失敗例:人事力がない)

(失敗例:上手く行った後自分が失敗する) 

(失敗例:煙たがれる)

 

  • 無能が取ろうとしていたタスクを取ってしまう

(失敗例:タスクが溢れて死ぬ。そもそも影響度が高く浮いてるタスクというのは難易度が果てしなく高い)

(失敗例:説明を求められ説得される)

 

  • 判断器を組織として設ける(レビュー体制)

(失敗例:監視監督がきつい)

(失敗例:判断器になれる人=忙しいので、その人のスケジュール調整が難しい)

 

  • 権限を自分か誰かに集めてしまう

(失敗例:該当者なし)

(失敗例:権限委譲失敗)

 

 

おわりに

結局できないんか!という感じだけど

できないというよりは「徒労に終わるからやめとこう」だと思う

他人をどうこうする、ましてや集団を一人でどうこうするなんて無謀だよ・・・

関わらないのが一番

 

とは言え、どうしても解決したい場合もあると思う

そういう時、ヤルか、退くかのジャッジが重要になるのではないだろうか

 

  • 組織の設計者が無能なのか?たまたま起こった事故か?
  • 組織の設計者をすげ替えるのは可能か?
  • 判断器がないのか、あるいは宗教論争なのか?
  • 周りの連中は話が通じる相手か?
  • 自分がきちんと説明できるか?
  • 権限は奪えそうか?

などなど

 

 

本来、こういうのを解决するスキルが中間管理スキルなんだろうなぁ